| 〜フランスワイン輸入〜
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日本でこの仕事を始めた時に書いた私たちのワインに対する考え方とワインを選ぶ基準(次の章)は、 現在に至ってもさほど変わってはいません。私たちの興味は、テクノロジーワインではなく、テロワールワインです。 このことを詳しく説明した文章に、ブルゴーニュ大学のジャッキー・リゴーのClimats de Bourgogne, un modèle de terroir(仏語)があります。 中でも「Éloge de la paresse」の章に大変良く書かれてます。 その他には、環境を尊重した農業、生きた土壌、健康でよく熟した(但し熟しすぎでもない)ブドウ、繊細な仕事と、伝統的で手を介しすぎない醸造を大切と考えています。 その一方、時に妄信的な秘教の実践は信じられないものもあります。
以下のブログにワイン作りに関して更に詳しく説明しています。是非読んでみられてください
私たちがワインを選ぶ時、最も重要な基準は「味」です。私たちは沢山のワインを試し、最終的に選択したものはほんの一握りとなりましたが、私たちが本当に好きで満足のいくワインだけを提供します。
私たちは、伝統的なワインが好きです。「らしさ」を持った、本物のおいしいワインを追求します。まずこのことを説明します。
1. 味、「らしさ」、アペラシオン
フランスのワインには長い伝統があり、「呼称(アペラシオン、AOC)」と呼ばれる分類があります。(日本では原産地統制呼称と訳されたりしています。)ワインがその呼称を名乗るには、まず原材料のブドウが地理的に明確に規定された場所で生産され、更に組み合されるブドウの品種や、ワインの製造過程も一定の決まりを守らなければなりません。
ここで幾つかの例を挙げると、ヴォーヌ・ロマネ・ヴィラージュは、ヴォーヌ村で、面積あたりの収量制限等に基づいて生産されたピノ・ノワールのみを用い、ブルゴーニュワインの伝統的なワインの醸造熟成方法で作られたものでなければいけません。サンテミリオンは、サンテミリオンと幾つかの周辺の村(St Christophe、St Laurent、St Supliceなど)で作られた、メルローとカベルネ・フランの組み合わせに、マベックなどの他の品種の少量の付加を可能としています。更に、「グランクリュ」の呼称を得るには、ブドウの面積あたりの平均収量は更に制限され、醸造熟成方法も更なる規制を満たし、特に比較的長く樽で熟成されなければいけません。
実際、呼称はそれぞれ固有の味を決定します。なぜならば、ワインの味は、次の指標によって決まるからです。
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これらの指標は、大まかには、呼称によって定まるのです。
上記の指標Tは、非常に重要です。
よい土なしに、素晴らしいワイン(グランヴァン)はありえません。
例えば、カベルネ・ソーヴィニヨンの成熟は気候と土壌によります。ブドウの木の成長をある期間で止め、よいブドウを作るために、ブドウの木はストレスを受け、萎縮していなければいけません。このストレスは、小石と粘土質からなる比較的貧しい土壌からもたらされます。その上、カベルネ・ソーヴィニヨンの成熟は時間がかかり、爽やかな秋晴れの天候が必要です。メドック地方の、海洋性の穏やかな気候と程良い日照加減は、この点において最適です。一方、気候も一因して、リブルネ地区ではカベルネ・ソーヴィニヨンの成熟が大変難しいのです。よって、サンテミリオンの典型的なブドウ品種の組み合わせは、メルローとカベルネ・フランなのです。
他の素晴らしい例としては、ブルゴーニュのブドウ品種は、赤はピノ・ノワール、白はシャルドネの一種類ずつということです。ここでは、小区画に区切られたブルゴーニュの土壌の質が最も主要な味の決定要素になるわけです。これが、小規模なクリュと呼称の多様さを説明づけているでしょう。
もう一つの重要な、ワインの味を決める土壌の要素は、アルコール発酵に必要な、ブドウの表面に自然に存在する酵母です。この酵母は自生酵母と呼ばれ、発酵のために人工的に添加される酵母と対称をなします。
呼称はワインの味を保証しているのですから、それぞれの呼称「らしさ」とか、呼称典型の味というものが、意味をもつのです。それは常識どおりに、ポムロルのワインはポムロル「らしい」味でなければならず、マルゴーはマルゴーの味、ヴォーヌはヴォーヌの味‥ということになるわけです。
この呼称のシステムは、ワイン作りの伝統を持つ国、イタリアやスペインなどでも共通です。例えば、バローロやブルネッロ等の呼称は、感覚的で、知っている人皆にある固有の味を思い起こさせるものであり、一般的には周知ではない、そのワインを構成するブドウ品種ではないのです。(少なくとも、私はバローロを知っていても、そのブドウ品種は知りません!)このことは、根本的にブドウ品種で区別される「ニューワールド」ワインと相反します。この視点からいうと、殆ど熱帯と呼んでいい緯度のあらゆる土壌の上で育成されたカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーといったブドウ品種のワインを見つけるたびに、ショックを受けるのです。
2. 味とテクノロジー
あるワイン生産者によれば、ブドウが醸造所に入るとき、つまり収穫された時点で、ワインの品質はもう本質的に決まっている、といいます。醸造と熟成の作業は基本的にブドウの品質をよい状態で保存することにあります。
よい醸造は、よいワインの生産に必要不可欠です。
例えば、よい温度調整は香りをうまく引き出します。その一方で、ブドウそのものが持つポテンシャルを超える醸造技術というものはないのです。ブドウの生産過剰、脆弱な濃縮、ブドウの未熟、などのブドウの欠点を補うためにテクノロジーを用いるのは人工的です。テクノロジーはしばしば消しゴムのように作用し、隠し、除去し、薄っぺらな人工香料をあたえます。したがって、私たちは、ワインの規格統一化を得るための人工的な醸造ではない、土壌の特徴を表現するような、シンプルで自然な醸造を好みます。
また私たちは、自生酵母だけを用いた発酵にも非常に興味を持っています。
3. 私たちの好きなもの(そして嫌いなもの)
ここで、私たちは何を「グランヴァン(素晴らしいワイン)」、または単においしいワインと呼ぶか、という問題があります。
むしろ、ヴォーヌ・ロマネ、ポムロル、または単にサントネイやベルジュラックなどの名前を挙げ、そして皆さんにご理解いただくために味見にご招待するのが、おそらく効果的で最も手っ取り早いに違いないのでしょうが、敢えてグランヴァンの品質について文章に表現してみます。
まず、グランヴァンはどれも、バランスと、とりわけ素晴らしい複雑な香りがあります。その試飲は、無我の境地ともいえる経験です。香りも、味も全てよい。全てが、劣るもの欠けたものが一つもなく首尾一貫している。後味は長い。同時に、口蓋(もしくはむしろ脳ミソ)は、一杯目のあとも飽きることがない。ワインは飲み物です。一本のワインは、一旦栓を抜いたら、飲みきられるべきでしょう。グラスごとに新たな楽しみをもたらし、試飲の楽しみは長く続きます。
おそらく、否定的な立場に立って「おいしくない」ワインの欠点を説明し、排除していくほうが分かり易いかもしれません。ここで、私の見解における最も一般的な欠点を挙げますと、
近頃の消費の傾向は、残念なことに、薄っぺらで、ただちに消費可能で、木の香りがしすぎで、酸味に欠き、濃縮しすぎで、その香り(時には、エキゾチックフルーツなんてのもあります!)は基本的にテクノロジーによって与えられたもので、ブドウとは何の関係もないワインのようです。これらは、私たちのテイストではありません。私たちには、それら「ガレージ」ワインは、しばしば味がしすぎで、濃すぎて、つまらないものに思えます。
私たちの「ボン・ヴァン・ド・テロワール(土壌をあらわしたよいワイン)」とは何か説明した今、次は私たちのワインを選ぶ方法について説明する必要があるでしょう。
私たちがワインを探すとき、生産者と会い、ワインについてよく話しあうための時間を十分に取ります。それはどれも人間性を分かち合うような経験で、大変興味深いものです。そして、何よりも、試飲のために必要な時間を十分とります。
生産者と議論しながら、私たちも製造の技術について多くを学ぶと同時に、生産者の仕事の質について査定します。ちなみに、全てのワインの造り手は、自分のワインに情熱を持っています。しかし、だからといって、彼ら全てが、私たちの思う「素晴らしいワイン」を造りだすわけではないのです。実際、私たちが良くないと思うワインが沢山あります。
試飲の情熱
私たちは、ワインの香りや味を分析し列挙することはあまり重要だと思いません。香水などの香りを作り出し、組み立てる専門家が、香りを構成する化学品の組み合わせを識別するために鼻の訓練をするのには意味があるでしょう。この分析は、あるワインを表現するのに有用かもしれませんが、私たちにとっては、あまり必要ではないようです。
かわりに、私たちは、コート・ド・ニュイ、コート・ド・ボーヌ、グラーヴ、リブルネ、メドック、もしくはもっと具体的に、ヴォーヌ、コルトン、ポムロル、マルゴー、などの呼称に備わる品質のほうが、全く理解できるのです。香りを表す専門用語よりも、呼称のほうが遥かに特徴を表しているのです。
同様に、私たちは手短な試飲は信頼できません。
ここで、YouTubeで見た例をあげると、ボルドーのあるグランクリュを試飲する1分半の映像があります。内訳は、
- 375mlのボトルを開ける。
- グラスに注ぐ。
- 1,2度香りを嗅ぐ。
- 審判を告げる。香りについて使い古された言葉を列挙し、
期待どおり、最上級の賛美の表現で飾りたてる。
そして、
- 味見
- (映像では)3秒後に、2度目の審判を告げる。
今度は味について、また同様に最上級の賛美の表現で飾りたてて。
これを見て思うことは、本当に真剣だろうか、ということです。どうやってワインを抜栓後1分半で判断できるでしょうか?
もちろん、皆さん理解されているでしょうが、私たちはそういうことはしません。私たちは同じワインを何度も試飲を重ねます。生産者のセラーでの試飲は必要最小限に短く、初見を与えるものでしかありません。次に、ワインは食事と共に、多くの人と試飲します。そして、抜栓後、ワインが展開する時間をおきます。ワインによっては、例えばそのポテンシャルを十分に表現するために酸化させる必要があります。この酸化作用は、時には何時間もとることもあります。このように、試飲の長いプロセスの後のみに、私たちにはワインの評価を下すことができるわけです。
最後に、あるワインに興味を持つと、今度は異なる生産年のものを味見します。
ワインに生産年の特徴を発見するのもとても興味深いものです。例えば、ボルドーでは2003年は大変暑い夏でした(フランスのどこもがそうでした)。2004年は全くの平均的な年、2005年は素晴らしい年でした。よって、生産者は、全く異なる状況の下で醸造を行うことになります。特に2003年は大変難しい夏だったように思われます。同じワインが、これらの3つの生産年において、同じ特徴で、同じ品質だというのは、大変疑い深いのです。
私たちにとって、試飲のキーテストの一つは、「空の瓶」でしょう。つまり、試飲の後、そのワインの瓶が実際に空になるということです。ここに、試飲者の熱狂が最終的によく表現されていると思いませんか。(私たちは375mlのボトルを飲みません!)
最後に、私たちが納得しないワイン、「らしくない」と思うワイン、人工的すぎるワインは拒否します。